腰椎疲労骨折

当院では成長期スポーツ選手の腰痛の原因となる腰椎疲労骨折の研究を平成8年から行なっており、各学会や講演会などで数多く発表しています。また、その診断・治療を専門的に行っています。

腰椎疲労骨折とは・・?

sekitui 腰痛の診断で、腰椎分離症という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
分離症とは椎弓の一部が既に離れてしまっている状態です。離れてしまうと、偽関節となり再度癒合することは難しく、すべり症を引き起こす原因となったり、将来的に変形がひどくなる可能性があります。
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腰椎疲労骨折とはまだ分離する手前の段階で、レントゲン上でははっきりわかりませんが、MRI検査やCT検査によって診断がつきます。

成長期(中学生~高校生)において最も出現しやすく、スポーツを原因と考えられる成長期腰痛症の4人に1は腰椎疲労骨折が占めると言われています。適切な治療により、癒合する可能性があります。
癒合するかどうかの早期診断が、分離症を防ぎスポーツ選手の今後に大きく影響します。

どのように診断するの・・?

レントゲン検査

まず、レントゲンを撮影します。腰椎疲労骨折の段階でははっきりとした分離は認められません。 やや椎弓根部が硬化したり、細くなっているようにみえます。
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MRI検査

レントゲン上で疲労骨折が疑われると、次にMRI検査を行います。疲労骨折が起こっている部分には、高輝度所見(白く写る所見)が認められます。これらの所見が認められ、腰椎疲労骨折と確定診断されます。
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CT検査

腰椎疲労骨折と診断された後、CT検査にて疲労骨折の程度(進行度)を調べます。
程度により、使用するコルセットが決定します。
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どのような症状があれば病院へ行くべきなの・・?

 

腰痛が4日以上続き、上記の症状がある場合は早めに専門医を受診しましょう。

治療


局所の安静が必要であり、基本的に運動は完全中止です。
安静を保つためにコルセットを用います。                    


腰にかかる負担を制限するために、指定された装具を就寝時、
入浴時以外は必ず装着してください。

 

  


復帰許可が出た後より、体を捻じる動きを取り入れた運動、動作トレーニングを行い、スポーツ復帰へと進めていきます。

疲労骨折の治療・再発予防の為にも、まずはバランスの良い食事を続けていく必要があります。

日常生活での注意点

#1. スポーツ活動の中止
#2. 自転車に乗らない
#3. 腰を反る・捻る動きは控える
#4. 重い荷物を持つことは控える
#5. 長時間同じ姿勢を続けることは控える
#6. 長時間の通学歩行は避ける(20分以上)
#7. コルセットを必ず装着すること        

   

スポーツ復帰について

▶ MRI検査による所見の消失によって運動許可となります。
▶ 運動許可後、急激にスポーツ活動を再開すると腰への負担が強くなるため、
1~2週間アスレティックリハビリテーションを行った上でのスポーツ復帰となります。

 

当院では医師の指示のもと、理学療法士が運動機能の評価をしたうえで、必要な運動療法を指導しています。お気軽にご相談ください。